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いい天気!

1 月 16th, 2018

本棚の奥からエンゲルスの『空想より科学へ』がホコリにまみれて出てきた。

何を隠そう、私はこの本を高校生のとき題名からSFだと思ったほどの無知であった。

その後読んでみて内容が理解できたのかどうか。

ただ本文中で彼の言う「人間の意識がその存在を規定するのではなく、人間の社会的存在がその意識を規定する」という唯物史観に衝撃を受けた。

だから50年も経った今でさえ、ハッキリとおぼえている。

目指す生き方が人それぞれなのは当たり前のことである。

私の場合、社会主義は人として当然関心をもちながら、実社会においてもそれに基づく何らかの行動をしていかなくてはならないと思うのであるが(だって私はプロレタリアートなのだから)私は徹底して個人主義者である。

もっといえば冷たい利己主義者かもしれない。更に言えば怠け者であることがそれに拍車をかける。

だから私は社会主義者としての体質をもっていない。

その後、あれほど衝撃を受けた唯物史観をすっかり忘れ、私は同じ19世紀でも、マルクス、エンゲルスより同世紀の文学、音楽、美術という芸術に惹かれ、唯物論者というより観念論者になっていった。

当時の時代思潮から逃れ、世紀末芸術に惑溺することは私の密やかな楽しみでもあった。

私は、この長い観念論のまどろみの中にいたのであるが、『空想より科学へ』を再読することにより何だか眼が覚めたような気がした。

笑ってしまったのは、カントの「神の存在証明は誰にもできない」という不可知論を、エンゲルスは「弱気の唯物論」として、不可知論は事実上の唯物論であると言っていることだ。

読んでいたらギャビがため息をついた。

ああ、可哀想に!

ということでギャビを連れて散歩に出た。

いい天気で太陽の光が事物を明るく照らし出していた。

私の精神と外界が照応し合っていた。

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