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雨のサンショウバラ忌

6 月 6th, 2018

雨の中、サンショウバラが咲き始めた。

このバラが散りはじめた2013年の6月12日に、猫のバルが死んでしまった。

あれからもう5年も経つ。

野良猫だったバルは、ここへ勝手に棲み着いたときから白血病を患っていた。

獣医師はあと2年くらいしかもたないと言ったが、その予測を6年越えてバルは8年間ウチにいた。

凶暴な猫だったのでゲバルトから名をとって、バルと呼んでいた。

しかし晩年はすっかり穏やかになり、いつも私と一緒にいたがった。

あの日、バルにはおよそ似つかわしくないピンクのサンショウバラがハラハラと散る庭で、彼は私の腕の中で静かに逝った。

今年もサンショウバラ忌かい?

バアさんが思い出してくれたら、オイラいつだってあの世からやってくるぜ。

オイラ本当に死んでしまったんだなあ。

いつだったかバアさんに「オイラはどこから来てどこにいくんだろう?」て哲学的な問を発したことがあったよなあ。

そうしたらバアさんは「アンタは捨てられた猫だけど、純血種だからブリーダーのところから来て、いずれこの家の庭の隅へ行くのよ」なんてトンチンカンなことを言ったよなあ。

そこでオイラが「ヒドイじゃないか!オイラ庭の隅っこに埋められて、石ころひとつ置かれてそれっきりかい!その上に犬たちがションベンかけたりするんだろう!」

なんて怒ったけどほんとうにそうなっちまった。

だけどバアさんは言ってくれたよなあ。

「でもねえ、バルちゃんは私の中で今以上にずーっと生きるのよ。これが私の表象能力のスゴさってもんよ」と。

そこでオイラ再度訊ねたよ。「バアさんが死んだらどうなるんだい?」

私が死んだあとは息子たちがそれを引き継ぐよ。

バルちゃんがいつも“クソガキ”って呼んでいる私の孫くらいまでかな?

あとは、みんな死んでオシマイ。

サンショウバラが咲く頃、あるいは私がバルを思い出すだけで、彼は私の前頭葉にあらわれる。

雨の日は色々なことが思い出される。

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