香りについて
5 月 26th, 2019
当地は今、木に咲く花の香りに満ちている。
ズミ、ライラック、リンゴ、ウワミズザクラ、リキュウバイとほとんどは白い花である。
ライラックも白花の方が断然香りが強い。
そんな良い香りに包まれて、私はこの世の幸せを満喫している。
老人になると嗅覚から弱るそうだが、まだまだこの喜びは私から離れていないようだ。
恩師の奥さんから、ご自分がお書きになった書評が送られてきた。
相良嘉美著『香料商が語る東西香り秘話』(ヤマケイ新書)という本についてである。
非常に面白く、これは私のために書かれた本だなあ、と思ったくらいである。
人類が最初に神に捧げるものとしたのは、焚香と香油だった。香油から香水に発展したのは、アラブのアルコール蒸留技術が中世ヨーロッパに伝わってからであるという。
この本をさっそく通販で注文した。
私は、もう何十年も前にフランスに行ったことがあるが、美術館以外でまた来たいと思った所は南仏だった。(もちろんその後もこの先も行くことはないだろう)
特にこの本にも紹介されている、香水の街グラースには仰天した。
街中が香りに満ちあふれ、いたるところに花が咲いているのである。
色気とは無縁だった私が、はじめてこの時香水に目覚めた。
その後買い求めたのが、ゴーギャンが移住した南太平洋フィジーをイメージしたギ・ラ・ロッシュの『フィジー』だった。
セクシーさとは無縁な爽やかな香りである。
若い時、香水を人前で使うことはなかったが(デートの時でさえ)今は風呂上がりに『フィジー』だけをほんの少し使い、安眠を得ている。
私は宝石も香水も身に付けることはないが、どちらも好きである。
まあ、自分だけの密やかな楽しみというところか。(ピアノも)
ボクは香水は大キライだよ。
香水じゃなくて汚水だね。