1月16日
捨てる本の中身をあらためていたら、『源氏物語』があった。
私にとっては挫折した『源氏物語』である。
必要に応じて部分的に読んでいたが、これではいけないと、生々しいであろう瀬戸内寂聴訳は避け、田辺聖子訳の『源氏物語』を読み始めたのであるがすぐにギブアップした。
どうも私は男女の”恋愛もの”が苦手なのだ。
大好きなゲーテも『若きウェルテルの悩み』はダメだった。
人妻に横恋慕した若者が三角関係の末ピストル自殺を遂げる、という陳腐極まりない話が面白くもなんともなかった。
ただ風景描写の素晴らしさは今も心に残っている。
『ファウスト』は恋愛ものではないから好きなのであろう。
エッカーマンの『ゲーテとの対話』共々私の愛読書だ。
自己愛の強い私は、相手のことを自分以上に愛し、破滅も厭わない“恋”というやつには馴染めないのである。
そういえば私には身を焦がすような恋愛体験がない。
もちろん失恋体験はあるが、それは傷になるようなものではなく、むしろ糧にしてしまった。
といったようなことを、売れない作家である先輩から頂いた年賀状の返事に書いたら、次のようなメールが来た。
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源氏を途中で放り出されたとのこと。もったいないですね。
与謝野晶子源氏で通読されることを是非お勧めします。
情痴小説、変態性欲の小説として読めばスラスラ読めますよ。
とにかく、少女から姥桜まで、手当たり次第相手にする源氏の異常性欲の物語として読めば一気に読めます。
古典などと構えるからいけないのです。
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この男は何も分かっていないのね。
だから嫌なんだということを!!!
無条件に愛せる対象