5月18日
「ハチ」 「フク」
どちらも男の子。
性格は真反対(私は真逆とは言わない)。
当然顔からも察しられるように、ハチの方がやんちゃ。
フクは穏やかな優しい男子。
フクはハチの横暴に耐えることが多いけど、やるときはやるんだそうだ。
今日も五月晴れのいい天気だった。
ハチもフクもこの菩提樹の木の下で休んだかな?
この2頭の飼い主さんは、愛知県から高速道路は使わず、下道を走ってゆっくり新緑を楽しみながら来てくれた。
そう、この時期はそれが一番!
よく分かっていらっしゃること。
沿道、脇道には見るべきものがたくさんあるはず。
人生も同じだね。
ギャビが何かの匂いに夢中になっている。
それを隣のおばさんが辛抱強く待ってやる。
いい人だ。
今日の私の手仕事は、頂いた無農薬の夏みかんでママレードを作ること。
パンに塗るだけではなく、肉料理に使うのだ。
やらなければならない家事は紙に書き出し、優先順位をつけてやる。
そのペーパーを眼にみえるところに貼って、終わったものから消していく。
そうでもしないと一生やらないことになってしまう。
それでも何事もなかったかのように時はすぎ、生きていけるけどね。
5月17日
リンデンバウム(セイヨウボダイジュ)がやっと芽吹いてきた。
夏になり葉が茂ると、敷物を広げてこの下でくつろぐ人が多くなる。
昼寝している人もいる。
小さい子供のいるファミリーもカップルもそれぞれ楽しんでいる。
そういえば『樹下の家族』という小説があったなあ。題名に惹かれて読んだ。
現代家族の危うさともろさを浮かび上がらせた小説だったっけ。
もうそんなところはとっくに過ぎってしまった私は、ここに集う人々を温かい眼で見守っている。
ギャビが見上げているのは枝に止まった山鳩。
まだ葉が茂っていないのでよく見える。
なんてカワイイ顔をしているの!
気温が低いせいか、新緑も花もまだまだ美しい。
人生の目標が幸福の追求だとしたら、この自然の美を享受できる幸福は、幸福の階層のどのあたりに位置づけられるのだろう。
5月15日
本日私は75歳の誕生日を迎えた。
70歳になった時はうろたえたけれど、もう平気だ。
肝が座ってきたというか、老いを自分の中に取り込んだような気がするのだ。
といっても世人がイメージする75歳の老女とは自分でも思えない。
行為においても、考え方においても。
草刈りもするし、日本中どこでも自分が行きたいと思ったところは、クルマでも電車でも行ける。
考え方においても私は遥か昔から選択的夫婦別姓を支持するものだし、フェミニストでもある。
いつも「ヨメゴのおチエ」と言っているけれどそれは便宜的な使い方。
一緒に住むようになってから、最初は“嫁”ではなく身近な他者、友人というような関係であった。
それが今はコロナを超えながら、同志のような関係になってきた。
今や隣のおばさん、中学生の孫娘も加えて4人で「原村女同盟」を結成している。
居心地のいいことこの上ない。
画家の友人が誕生日のケーキを昼過ぎに届けてくれた。
毎年贈ってくれるのだ。
息子はすぐさま開けて「食おうぜ!」と言いながらナイフや皿を用意し、私がまだ席についていないのに孫娘と♬ハッピイバースデイトゥーユー♫と大声で歌いながら二人分のケーキを切ってムシャムシャ食べている。
それを尻目に私は画家の友人にお礼のメールを書く。
彼女の家は歩いて10分くらいのところであるが、滅多に会うことがない。
今はメールだけど以前は葉書か手紙だった。ポストのほうが遠い。
彼女は心の友だ。
夕方仕事から戻ったおチエと隣のおばさんが、タラノメとコシアブラの山菜天ぷらを揚げてくれた。
息子は豆腐グラタンを作ってくれた。
そしておチエからはなんと花束のプレゼント!
75歳、節目の誕生日は素晴らしいものだった。
感謝して残りの人生を楽しく暮らそう。
5月13日
自立して生活できる状態を健康寿命というのだそうだ。
男性では72歳、女性は74歳だという。
俄には信じ難いが周りを見渡すと、そんな気もする。
でもこればっかりは個人差が大きいなあ。
息子に言われた。
「運転免許証を更新できたんだから、行きたいところには積極的に行ってこいよ。自由に動ける時間はあと数年だよ」と。
そんなことわかってるわい!行く予定の候補はいくつもあるのさ。
それができないのはギャビという縛りがあるからよ。
ギャビは車酔いするから遠出は無理だ。
連れて行くとしたら、クルマで1時間以内のところに限られる。
私は15日には上高地に一泊の予定だが、ギャビを残していくことが心配だ。
隣のおばさんと家族全員にしっかり面倒をみてもらおう。
老人に未来はない。あるのは今だけ。
決して先送りしないようにしよう。
孫がタブレットで友人とラインに興じている。
楽しくて勉強なんかしている暇はないだろうよ。
5月12日
自動車の免許更新をしてきた。
75歳ともなると更新手続きに時間がかかる。
まず教習所の予約から始まる。
そこで認知能力の検査と動体視力などの検査があり、これに合格したらまた別の日に実技講習を受けなくてはならない。
これをクリアして警察署や運転免許センターでやっと免許証が手に入る。
3日間かかった。
老人になってからの免許証の交付は厳しくしなければならないと思う。
ゴールド免許であれば次の更新は5年後だけれど、後期高齢者は3年後にまたそれらの課程をクリアしなければならない。
でもそれでいいと思う。
今朝の朝ごはん。
おチエに言わせると“意識高い系”の朝食だそうな。
私は蕗の煮付けでご飯が好きだなあ。
このフキはおチエが元職場の同僚から頂いてきたもの。
旨いのだ。
朝食を摂り、塩尻の運転免許センターまで1時間あまり。
平日でもずいぶん混んでいたけど、係員が手際良く誘導してくれる。
すべてがシステマティックにプログラムされていて感心した。
だからあっという間に終わった。
これであと3年は運転ができるはず。
気を引き締めて安全運転に集中しよう。
私は50歳過ぎから、クルマの中で音楽を聴いたり、ラジオや英会話のテープを聞くことなど一切していない。
ひとつのことにしか集中できない自分の性格をよく知っているからだ。