6月15日
6 月 15th, 2022
6月も半ばだというのに肌寒い。
コタツに入って所在なく過ごしている。
緑の葉が幾重にも重なり合う暗い部分を眺めていたら、ふとこの冬の寒さを思い出した。
あの寒さの中で私は、このような春や夏が来ることを信じられたであろうか。
もちろん冬の後には春が来ることを私はちゃんと知っていた。
しかし私にはそのことが信じられなかった。
「知」と「信」は同一の軌にはない。
滑って転んだ時、激烈な痛みの中、見渡す限りの雪と氷の世界にうずくまりながら、私は永遠に冬は終わらないと感じた。
あと1ヶ月半もしたら春が来るなんて信じられなかった。
でもこのままでは絶望しかない。
盲目的な信は愚にもつながる。
しかし冬の後には春が来るという自明の理を信じることにしよう、という思いにやっと至りなんとか家に辿り着いた。
今こうして美しい6月を享受しているが、火の気が欲しくなるとあの日のことを思い出す。
まだ腰は完全に治っていないが私はそれでもいいと思っている。
痛みが出るたびに、降りしきる雪の中でうずくまって、色々真剣に考えた2月10日のことを忘れないようにしようと思う。