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雪あってこその山

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 この数ヶ月、過ぎゆく日々を夢でも見ているように過ごしてきた。現実と思ったものも過ぎてみれば煙のように消えている。古代ギリシアの哲学者プラトンも、8世紀インドの哲学者シャンカラも、この世界は虚妄、幻のようなものだといっている。そうかもしれないなあ。でもお腹は減るのよねえ。それさえなかったらどんな夢まぼろしの世界でもいいなあ。
 夢の世界に遊んでいると足腰が弱る。一日数百歩しか歩かないなんてことも。だから散歩を日課にした。毎日同じコースを歩いても世界と私は変化し続けていることがわかる。
 小さな湖は凍り始め、八ヶ岳は白くなっている。これから厳しく長い冬がはじまる。でもそれだってすぐ夢のように消えていくことを私は知っている。せいぜい死ぬまでの暇つぶしを楽しもう。

 

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