ボケ老人のように森の中をフラフラと歩いていたら、サラシナショウマに出会った。この幽玄な花は薬草でもある。素晴らしい香りがする。ヒョウモンチョウが夢中で蜜を吸っていた。「あなたもヒョウ柄が好きなのね。どこかのオバチャンみたいね。私が近づいても逃げないのねえ、図々しいワ」なんて心の中で呟きながらしばらく見入っていた。
サラシナショウマのすぐ横にトリカブトの鮮やかな紫の花も咲いていた。毒草である。虫も蝶も止まっていない。ヒガンバナにせよトリカブトにせよ毒草はどうしてこう色鮮やかなのだろう。こういう派手な色に引き寄せられるのは人間の男だけ。なんて差別意識をむき出しにする。でも自分の心のうちだけだから害はないよね、と密かに思う。
原村の美しい秋も駆け足で通り過ぎ、すぐ厳しい冬がやってくる。私は何をしているのだろう。



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